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アイギスSS『魔弾と戦術家』

※あくまでも、うちの脳内部隊における関係性であって、公式性およびソース皆無です。あしからず。


ゴブリンクイーンから助け出した女性、ヘレナとの共闘が成った執務室にノックの音が響く。
「ミネルバよ。いいわね?」
断られるとは微塵も思っていない、いや、断ったところで許しはしないという声音とともに扉が開く。
「どうした?」
「あなたが先の戦いで助けられた自称戦術家?」
ミネルバは俺が用件を聞いてもどこ吹く風。意に介することなく、ヘレナに声をかける。
「そうだ。私が天才戦術家との呼び声高いヘレナだ」
ミネルバの言い草に腹を立てる様子もなく、自信満々にヘレナが名乗る。
「ゴブリンクイーンの軍勢がこちらに向かっているそうよ」
ミネルバが今度はヘレナの名乗りをどうでもいいとばかりにあしらって、物見にやった部下からの報告を始めた。
「魔物を使うのは上手みたいだけど、あなたが持ち込んだ嵐、抜けられるかしら?」
俺の時のように抜き打ちにはしない。
だが、返答如何ではそうすることを躊躇しないということがよくわかる言葉が投げかけられる。
「私は天才戦術家だ」
「海賊には海賊の用兵があるわ」
さすがに伝説を冠するだけのことはある、か。
部下の命がかかる戦いをよそ者にどうこう言わせる道理は、たしかに、彼女にはないよな。
「人は城、人は石垣、人は堀」
横から口をはさんだ俺に二人が揃って向き直る。
「カグヤの国の英雄の言葉だそうだ。続きはあるが、二人ならどう続ける?」
絆の強さと用兵の巧妙さで知られた人物の言葉だけに、初めてカグヤから聞かされた時は王子として、人の上に立つ者としての在り方を問われたような気がしたものだ。
「私から行こう。死生存亡の解に同じ、だな」
確固たる思いを込めて、ヘレナが告げた言葉に間髪いれずに「その心は?」と切り返す。
「城や石垣、堀をどう使えば勝てるのか、良い結果を導けるのか。それは人に例えた所で同じさ。誠意を持ち、誤魔化すことなく、一人の人間として、上に立たなければ勝てもしなければ、栄えることもないさ」
そう見られているならありがたいことだ。
そして、その志でもって指揮を執るなら部下を預けることも安心できる。
「船がなければ出ては行けない、だね」
ミネルバに水を向けるまでもなく、海賊らしいことを言って、どうだと言いたげな笑みを見せる。
笑いをこらえながら「違いない」というと、彼女は満足そうに笑った。
「でも、違えることがあれば」
「ああ、私からも頼もう。天才を号するに恥ずかしい指揮を執った時にはそうしてくれ」
一転、真顔で告げるミネルバを我が意を得たりとばかりにニヤリと笑うヘレナが重ねて告げる。
薄氷を踏むような問答だったが、まぁ、二人が互いを認め合うきっかけには十分だろう。
どのみち、しばらくは死生の地に身を置き続けなければならない時代だ。
それにしても、存亡の道か。
『世界を救うための征伐』、『女神から託された聖戦』と名乗ってはいるが、復讐という一面を持つのも事実だ。
俺も道を察しなければならないのだろうが、まだまだ先は見通せない。
わからぬ道の道半ばというのも困った話だな。
出撃準備に向かう二人の背中は俺に背中の荷を再確認させるには十分だったらしい。
先の見えない魔物との戦いは、まだまだ終わりそうにないしな。
だが、将来への不安を感じないのはきっと連中のおかげだろう。
不思議な安心感とともに俺たちは女王の軍勢の寄せる戦場へと出撃した・・・。
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自作? SS1話 邂逅

青い空の下を自分の足で思い切り走りたい。
吹き抜ける風を感じながら草の上で寝そべって昼寝したい。
すればいいじゃない、と普通なら言われるんだろうけど、僕は言われたことが、ない。
なんとか、という先天性の病気だそうだけど、よくは理解してない。
いや、理解したくない。
重要なのは治療法が確立されていない、言い換えれば、治る目処のない病気だってことくらいだ。
親や病院内の学習施設で一般教養と括られる程度のことは勉強した。
でも、あそこはあくまでも、病院だ。
消毒液の匂いは常に漂うし、急に調子を崩して、搬送される子も珍しくない。
授業中に急変して、そのまま死んだ人もいた。
ここの普通はきっとテレビで見る『普通』だとか、『一般的』だとか、そういうものから外れているんだと思う。
外へ出てみたいとは思う。
でも、思うだけで、言ってみるだけで、その先がないことに慣れるには十分な時間だった。
「三日だ。三日間、おまえの願いはすべて叶う。いい女が抱きたいならそう言え。殺したいやつがいるなら誰でも何人でも殺せ。金が欲しいなら金が欲しいと言えばいい。もっとも、金なんて手段がなくても、なんだって自由になるがな。」
病室での読書中に現れた・・・・・・病院、それも僕らの世界には特に似つかわしくない不清潔な格好、ドラマに出てくる浮浪者のようなボロをまとった男が不思議な威圧感で、高圧的に言ったその言葉はすごく魅力的に聞こえた。
「ただし、四日目の朝日が昇った時、お前は死ぬ。誰もお前を覚えていないし、誰もお前がいたことを知らない。それでいいならこの紙に名前を書け」
僕は迷うことなく、名前を書いた。
死ぬ、という言葉はすごく重いけれど、ここでいつ来るともしれない治療法が確立される日を待つのはつらいし、何より、確立されないまま、病院の中だけで終わる人生なら・・・・・・終わってしまえって思ったんだ。
「一つ目の願いを言うよ」
「前置きなんかいらねぇよ。さっさと言えばいい。俺はお前の望みを叶える存在、いわば、従者みたいなもんだからな」
・・・・・・すごく偉そうで、高圧的な『従者』だと思うよ。
従者という言葉や従者として働く人に謝ったほうがいいと思う。
「・・・・・・わかった。まずは僕を健康な体にしてくれ」
予想していたんだろう。
男がパチンと指を鳴らすと、いつもあった胸の重さや苦しさ、病院内で年相応に体を動かせなかったことによる足のしんどさがなくなった。
試しにベッドから飛び降りてみる。
何度か、動けるはずだ! とやったことがあるけど、いつものように膝から崩れ落ちることがない。自分の足で立てている。
嬉しい。叫び出したいくらいだ。堪らない。
だが、同意を求めて見た『従者』は無感動な目を向けるばかりだ。
これが『普通』と僕の間にある溝の深さであり、壁の高さなんだろう。
でも、今の僕はそれを飛び越えることができる。
「どうやら、本当みたいだね」
平静を装って、確認する。まぁ、顔がにやけているのは自分でもわかるくらいだけど。

街を歩いていると、奇異の視線を感じた。
今まで病院にいた人間が街を歩いているんだからきっと目立つんだろう。
「俺はお前にしか見えてないが、お前の格好は見られているんだぞ。拘りでもあるのかと思ったが、その病院着をどうにかしようと思わないのか」
言われて、ハッとする。
そうだ。僕はいつもの病院支給の服のままだ。
こんな格好で歩いてる人は他にいないし、テレビでも見たことがない。
「服を替えてくれ」
というのが精一杯だった。
ジャージやスウェット、あと、こないだの院内成人式の折にスーツを着たくらいでまともな服なんて着たことがない。
着たことがないんだから似合う服なんてわからないし、イメージもできない。
それを察したのか、『従者』はため息一つ。
少し考えてからさっきと同じように指をパチンと鳴らす。
それはテレビでよく見る同年代の青年たちが着ている、憧れの服だった。
派手ではないが、地味にならない程度に主張する淡色のダウンにシャツ。
病院着で寒く感じなかったのが不思議だが、冬空にふさわしい格好になった。
嬉しくて、ずっと憧れて、ずっと無理だと思ってきた『今』が僕は走り出していた。
走ったことなんかなかったのに、思わず、走り出して、なのに、走っても走っても息が切れない。
時々、人とぶつかったけど、気にならない。走るのって楽しいし、嬉しい。走るのをやめたくなかった。
『従者』は僕を理想の僕にしてくれる。
ゲームセンターや喫茶店、レストランや屋台、コンビニエンスストアやスーパー。
いろんな行きたい場所が街にはあったけど、走るのが嬉しくて、楽しくて、走って、走って、ずっと走っていたら周りに建物がまばらになっていた。
街だもの。外れた所には郊外があるよね。
走るのをやめたら、喉が渇いた。
いつも病院のロビーでそうするように自販機を探したけど、見つからない。
そんな時、公園の水飲み場が目に付いた。
たしか、昔見たドラマで汗だくの俳優が喉を鳴らしてゴクゴクと水を飲むのを見た。
思い出したらやってみたくなった。
蛇口はドラマと同じで脇にあったので捻って、口を持っていく。
でも、うまく行かない。
うまく行かないまま、ああでもないこうでもないとしてたから飲めた頃にはせっかくの服がびしょ濡れになってしまった。
「ふふっ、おもしろいんですね」
かけられた声に振り向くと同い年くらいの女の子が笑っていた。
「そ、そうかな」
返事をしながら女の子が座るベンチに向かうと、女の子は真ん中から少し端に寄ってくれた。座っていいらしい。
「この辺の人じゃないですよね?」
「ああ、うん。旅行、みたいなもんかな。」
まさか、病院を抜け出してきましたなんて言えるはずもないので適当なことを言う。
「この辺は何もありませんよ。何かあるなら街の・・・・・・」
街の方、と言おうとしたんだろうけど、女の子の言葉が止まる。
見つめる先に目をやると、体が大きく、腕も太い、怖そうな男がガニ股で歩いてきていた。
「サセコ。逃げた先で世間話とは悠長だな。・・・・・・おい、兄さん。知らんかったことにしてくれるな?」
ギョロリとねめつけながら男が確認する。
そんな風にされたことがなかった僕は、黙って頷くのが精一杯だった。
女の子、サセコって呼ばれてたし、そういう名前なのかな。
僕は、完全に射竦められて、身動きが取れないまま、そんなことを思った。
「ワンコみたいに走り回って、女見つけて口説いて、コブにどやされて、震え上がる。忙しいな、お前」
いつからいたのか、黙ってた『従者』が感想を述べる。コブ、というのは男のことだろうか。
「こんなの初めてなんだから、仕方ないだろ」
「力はあるが、欲しいか?」
欲しいに決まってる。
女の子は怖がってたし、あんな風に乱暴にするなんて許せない。
そう告げると、『従者』は一瞬、吹き出すのを堪えるような顔をしたが、無理だったらしい。
『従者』は体をくの字に曲げて、大笑いしだした。
ひとしきり笑って、落ち着いた『従者』はわざとらしい咳払いをして、いつものようにパチンと指を鳴らした。
「お前に勝てる奴はいなくなった。お前の力は人間の規格の外側だ」
持って回った言い方をするけど、要するに人間離れした力ってことだろうか。よくわからないけど、これでさっきの男からサセコさんを助けられるんだろう。
なら、僕は行くだけだ。

続く

プロフィール

will

Author:will
艦これ、花騎士、GE、MH、ポケモン等結構いろいろやってます。
で、分けるとか、絞るとかするの面倒なんでごった煮です。
ついて来れる話題についてきたらいいと思います!
あ、絵心ないし、テキストメインだしで白が眩しいですが、仕様です。
イメージは愛犬。

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